旧東海道藤沢宿の面影を残す古民家で、体に嬉しいごはんと甘味が楽しめる。
素材の力を大切にしたやさしい味が、地域とのつながりと心地よい時間を育む。
藤沢駅からほど近く、旧東海道藤沢宿の面影を色濃く残す一角に、築約100年の古民家をリノベーションしたカフェ
「甘味とごはんや 八一(やいち)」がある。元は1929年(昭和4年)に建てられた米問屋「山一」の建物。

歴史を感じさせる藍色の漆喰壁や神代杉の一枚板カウンター、神棚、金庫など、昭和の趣を随所に感じる空間が広がる。
店名「八一」は、旧屋号「山一」に由来。「八」は“米(八十八)”を連想させ、米文化や発酵食品への敬意が込められ
ている。ロゴデザインは歌舞伎の「大入り」を意識したもの。女性にも親しみやすい赤色が印象的だ。

ランチの主役は「一盆八膳」と名付けられた定食スタイルのセット。
主菜の肉料理に加え、「まごわやさしい」(豆・ごま・わかめ・野菜・魚・しいたけ・いも)を取り入れた副菜が並ぶ。
醤油麹・塩麹・コンソメ麹や、ぬか漬けといった発酵調味料はすべて自家製。味噌には長野・安曇野のおばあちゃん
手作りの熟成味噌を使用し、素材の味を引き立てる優しい味わいが特徴。

1.ランチは一盆八膳。お肉料理をメインに十八穀米・あらで出汁をとった汁物・自家製のぬか漬け・小鉢4品(ビーツと大根のマリネ、ズッキーニの塩麹あえ、
自家製ドレッシングのサラダ、ひじきの煮物)
2.黒毛和牛の焼肉 ¥1,800 和牛のうまみと新鮮なケールが相性◎ ご飯のすすむ味つけにおなかも満足。
3.むねトロ肉のチキン南蛮 ¥1,600 甘辛ダレが絡んだ、ふっくらジューシーな鶏むね肉に、コク深くまろやかな卵タルタルが絶妙にマッチ。
4.日替わり米粉シフォン ¥700 取材日はほうじ茶のシフォン。ふわふわでしっとりとした生地は、あんことクリームが上品に調和。
5.八一あんみつ ¥600 寒天は抹茶味もあり、フルーツの酸味とあんこの甘さが楽しい一品
中でも人気は、「自家製しゅうまいと旬野菜のせいろ蒸し」や鶏むね肉の南蛮「むねトロ肉のチキン南蛮」、
「和風あんかけのハンバーグ」など。すべて手間ひまかけた仕込みで、身体に染み入るような安心感がある。
地元の新鮮な米や野菜を活用し、家庭のもう一品としても好評なテイクアウト弁当も販売している。
甘味メニューにも力を入れており、地元の老舗「平野製餡所」のあんこを使った「八一あんみつ」やパフェ、豆花、
米粉のシフォンケーキなど、女性に嬉しいラインナップ。夏には手作りシロップのかき氷も登場する。
ドリンクは、藤沢のスペシャルティコーヒー店「27 COFFEE ROASTERS」のバリスタが淹れる本格コーヒーに加え、
藤沢産のクラフトビールや日本茶(緑茶・ほうじ茶・玉露)など、幅広く取り揃える。
運営は、藤沢で30年以上「食」の事業を展開してきたヨンドングループ(株式会社エムワイ)。
代表の吉田氏が語る「食から嬉しいことができる会社」という理念のもと、
「添加物に頼らず、素材の力を活かす」料理を提供。スタッフの多くは子育て世代の女性で、
平日昼間の営業スタイルを採用するなど、働きやすい環境づくりにも注力している。
「人が発酵する、町が発酵する」。食を通じた地域とのつながりや、文化の再生を目指す「八一」は、
まさに現代の“発酵カフェ”。和食の魅力を見直すきっかけとしても、ぜひお勧めしたい一軒だ。
(取材:T・S)

【店名】甘味とごはんや 八一(やいち)
【住所】神奈川県藤沢市藤沢630-1
TEL. 0466-90-3981
【営業時間】月〜金・祝日 11:00〜17:00(ランチは15:00まで)
定休日:土・日
【アクセス方法】JR・小田急線藤沢駅から徒歩約11分
【Instagram】https://www.instagram.com/fujisawa_yaichi/